✓ 理学療法士の退職金がいくらもらえるのか知りたい
✓ 今の職場を辞めたら退職金がどうなるのか不安
✓ 退職金なしの求人を選んでいいのか迷っている
「このまま働き続けて、退職金っていくらもらえるんだろう」
調べてみると「理学療法士の退職金の相場は◯◯万円」という記事が出てきます。
ただ、その数字をそのまま自分に当てはめるのは危ないです。
なぜなら退職金の額は、職種ではなく勤務先の制度で決まるからです。
同じ理学療法士でも、公務員と小さな事業所では仕組みからまったく違います。
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・老健を7年で辞めたときは退職金あり。今の訪問の事業所は退職金なし
・老健から訪問へ移り年収450万円 → 500万円
退職金がある職場と、ない職場。両方を経験したうえで書きます。
数字はすべて厚生労働省・東京都・国税庁の公的データから引いて、出典を明記しました。
- 勤続年数別の退職金の目安
- 勤務先別の制度の違い(公務員・社会福祉法人・民間・訪問)
- 転職したときの退職金の扱い
- 自分の退職金を確認する方法
① 理学療法士に限った退職金の公的な統計はない
② 金額を決めるのは職種ではなく勤務先の制度
③ 退職金がない職場も珍しくない。確認すべきは制度の有無と最低勤続年数
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理学療法士の退職金はいくら?勤続年数別の目安
まずは金額の目安からお伝えします。
東京都が公表しているモデル退職金を、万円に直して並べました。
| 勤続年数 | 自己都合(大学卒) | 会社都合(大学卒) |
|---|---|---|
| 3年 | 約21万円 | 約30万円 |
| 5年 | 約43万円 | 約57万円 |
| 10年 | 約112万円 | 約145万円 |
| 20年 | 約347万円 | 約408万円 |
| 30年 | 約751万円 | 約776万円 |
| 定年 | - | 約1,150万円 |
3年制の専門学校を出た方は、表の「高専・短大卒」が近い区分になります。こちらは10年で約102万円(自己都合)でした。
10年勤めて100万円前後。思っていたより少ない、と感じた方もいるかもしれません。
これは中小企業のモデル例です。大きな病院や公務員では、もっと高くなることもあります。
勤続20年以上かつ45歳以上で退職した人の平均額も見ておきます。
退職者1人あたりの平均退職給付額(大学・大学院卒/管理・事務・技術職)
- 定年:1,896万円
- 会社都合:1,738万円
- 自己都合:1,441万円
出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」
ここで覚えておきたいのが、自己都合退職は定年より約455万円少ないという点です。辞め方で金額が変わります。
理学療法士に限った公的な統計はない
ここまでの数字は、すべて全産業の一般データです。
というのも、理学療法士の退職金だけを調べた公的な統計は確認できませんでした。厚生労働省の統計は産業別・企業規模別・学歴別には出ていますが、職種単位のデータはありません。
「理学療法士の退職金の相場は◯◯万円」と書かれていたら、その数字は次のどれかです。
- 全産業や医療・福祉業の一般データ
- 特定の病院だけを調べた資料
- 出典のない推測
目安として見るのは有効です。ただし自分がいくらもらえるかは、勤務先の規程でしか分かりません。
退職金があるかどうかは勤務先で決まる
退職金は、法律で会社に義務づけられているものではありません。
制度を作るかどうか、いくら払うかは勤務先が決めています。だから同じ理学療法士でも、勤務先が違えば金額はまるで変わります。
私自身、前の職場では出ましたが、今の事業所には制度そのものがありません。
退職金制度がある会社は全体の74.9%
退職給付(一時金・年金)制度がある企業の割合
- 全体:74.9%
- 従業員1,000人以上:90.1%
- 従業員30〜99人:70.1%
出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」
注目したいのは規模が小さいほど割合が下がることです。訪問看護ステーションのような小さな事業所は、ここに当てはまります。
医療・福祉の中小企業では42.9%
東京都が中小企業を対象に行った調査では、もっとはっきり出ています。
東京都の中小企業/退職金制度の有無
- 調査産業計:制度あり64.2%/制度なし34.4%
- 医療,福祉:制度あり42.9%/制度なし57.1%
出典:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」第7表①
※医療,福祉は42社の集計。数が少ない点に注意
集計された社数が少ないので断定はできませんが、医療・福祉の中小企業では、退職金制度がないほうが多いという結果でした。
「退職金がないなんてブラックでは」と思うかもしれませんが、制度がないこと自体は違法ではありません。珍しいことでもない、というのが数字から見えることです。
月々の給料の相場から知りたい方はこちら▼
勤務先別|理学療法士の退職金制度の違い
ここがこの記事の中心です。勤務先のタイプによって、退職金の仕組みそのものが違います。
| 勤務先 | 退職金の仕組み | 確認先 |
|---|---|---|
| 公立病院・行政(公務員) | 法律・条例で計算方法が決まっている | 人事担当・条例 |
| 社会福祉法人の施設 | 退職手当共済に加入していることがある | 法人の事務・WAM |
| 医療法人・民間の病院 | 法人の退職金規程しだい | 就業規則・退職金規程 |
| 訪問・小規模な事業所 | 制度がないことも。中退共のことも | 管理者・就業規則 |
公立病院(公務員)は計算方法が決まっている
公務員として働く理学療法士の退職手当は、法律にもとづいて計算されます。
国家公務員の退職手当(基本額)
退職日の俸給月額 × 退職理由別・勤続期間別支給率 × 調整率(+調整額)
出典:内閣官房 内閣人事局
地方公務員は自治体の条例で決まりますが、考え方は同じです。
ルールが公開されていて、勤続年数ごとの支給率も早見表で確認できるのが、公務員の特徴です。
社会福祉法人は退職手当共済に加入していることがある
特別養護老人ホームなど、社会福祉法人が運営する施設で働く場合です。
社会福祉施設職員等退職手当共済制度という、法律にもとづく制度があります。独立行政法人福祉医療機構(WAM)が運営しています。
- 対象:社会福祉法人が運営する社会福祉施設など
- 掛金:事業主・国・都道府県が負担(職員の負担なし)
出典:独立行政法人福祉医療機構(WAM)・厚生労働省
自分の職場が社会福祉法人なら、この共済に入っているかを事務に聞いてみてください。
医療法人・民間の病院は規程しだい
一番多いのがこのパターンです。法人が独自に作った退職金規程にしたがって支給されます。
私が最初に勤めた老健も医療法人で、7年で辞めたときに退職金は出ました。
正直に言うと、入職するときに退職金があるかどうかは確認していませんでした。
出たから良かったものの、制度がなければゼロだったということです。確認しないまま7年働いていました。
訪問・小規模な事業所は制度がないことがある
そして、私が今いる訪問の事業所です。
退職金制度はありません。
先ほどのデータのとおり、小さな事業所ほど制度がない割合は高くなります。訪問看護ステーションは数人〜十数人で運営していることも多く、このタイプに当てはまりやすいです。
ただし、制度がない=必ず何もない、とは限りません。中退共(中小企業退職金共済)に加入している事業所もあります。
中退共のしくみ
- 国がつくった中小企業向けの退職金制度
- 掛金は全額事業主の負担
- 退職金は機構から本人の口座へ直接振込
出典:厚生労働省・中小企業退職金共済事業本部
事業主が退職金を代わりに受け取ることはできない仕組みなので、加入していれば確実に本人に届きます。
転職すると退職金はどうなる?
転職を考えている方が一番気になるところだと思います。
最低勤続年数に届かないと支給されない
退職金は、一定の年数を勤めないと支給されない決まりになっていることがあります。
退職一時金を受け取るための最低勤続年数(自己都合の場合)
- 3年:47.3%
- 1年:14.2%
- 2年:11.6%
- 5年以上:11.4%
出典:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」第7表⑤
約半数が「3年」を条件にしています。
つまり2年11ヶ月で辞めると、退職金は1円も出ない可能性があるということです。
辞める時期が自分で選べるなら、規程を見てから決めたほうが得をすることがあります。
自己都合退職は支給額が下がる
先ほどの表をもう一度見てください。同じ勤続年数でも、自己都合のほうが金額は下がります。
勤続10年のモデル退職金なら、自己都合で約112万円、会社都合で約145万円。30万円以上の差があります。
転職はほとんどが自己都合です。求人票の金額だけでなく、自己都合のときにいくらになるのかを見ておきたいところです。
転職すると勤続年数はリセットされる
退職金は勤続年数が長いほど、支給率が上がる仕組みになっています。
モデル退職金で見ると、勤続10年が約112万円なのに対して、20年は約347万円。年数が2倍になると、金額は3倍を超えます。
転職すると、この年数は新しい職場でゼロから数え直しになります。10年勤めた職場を辞めて、次で10年勤めても、「20年分」にはなりません。
これが「転職すると退職金で損をする」と言われる理由です。
ただし、これは転職しないほうがいいという意味ではありません。月々の給料が上がれば、その差で十分に取り返せることもあります。比べ方は後ほどお伝えします。
転職の回数そのものが気になる方はこちら▼
中退共・企業型DCは持ち運べる場合がある
すべてがリセットされるわけでもありません。
中退共は、転職先も中退共に加入していれば通算できる仕組みがあります。企業型の確定拠出年金(DC)も、転職先へ移せる場合があります。
どちらも手続きに期限があるので、辞めると決まったら早めに事務へ確認してください。
転職するタイミングの考え方はこちら▼
退職金なしの職場が損とは限らない理由
ここは私の実体験を交えてお伝えします。
月給の差×年数で比べる
退職金がない職場が損かどうかは、月給の差と並べて初めて判断できます。
たとえば、こういう比べ方です。
10年働くと仮定した比較(例)
- A:退職金あり。10年で約112万円
- B:退職金なし。月給がAより2万円高い
Bの差額は 2万円 × 12ヶ月 × 10年 = 240万円
この例なら、退職金がないBのほうが手元に残ります。
もちろん、実際には賞与や昇給の差もあるので、この計算だけで決まるわけではありません。ただ「退職金がある=good、ない=bad」という単純な話ではないことは、知っておいて損はありません。
退職金なしの職場を選ぶときの判断材料
私は退職金制度がないことを、入職する前から知っていました。
それでも移った理由は3つです。
- 月給が上がること
- 知人の紹介で、職場の中身が分かっていたこと
- 当時はそこまで気にしていなかったこと
結果として、年収は450万円から500万円になりました。
退職金がないことを後悔した瞬間は、今のところ一度もありません。
ただし「気にしていなかった」は、おすすめできる態度ではありません。たまたま月給が上がったから結果が良かっただけで、下がっていたら単純に損をしていました。
退職金がない場合の備え方
今は、次の2つで考えています。
- 自分で貯めておくこと
- 副業で収入の柱を増やすこと
退職金は「後払いの給料」のようなものです。それが無い働き方を選ぶなら、その分を自分で積んでおく前提で月給を見る必要があります。
私自身、定年までこの働き方を続けるとは限らないとも思っています。だからこそ、1か所に頼りきらない形にしておきたいと考えています。
訪問の給料は件数で動きます。その仕組みはこちら▼
自分の退職金を確認する方法
ここまで読んで、「自分の職場はどうなんだろう」と思った方へ。
先に正直に書いておくと…
私は、自分の職場の就業規則がどこにあるのか知りません。
14年目でこれです。中退共に入っているかどうかも、聞いたことがありません。
えらそうに書いていますが、私も確認できていない側の人間です。
同じ方は多いと思います。だからこそ、確認の順番をまとめておきます。
就業規則・退職金規程を見る
退職金のルールは、就業規則か、そこから分かれた退職金規程に書かれています。
職場に備え付けられているか、データで共有されていることが多いです。見当たらなければ、事務や管理者に「就業規則はどこで見られますか」と聞けば済みます。
規程で見るべき4項目
- 退職金制度の有無
- 支給に必要な最低勤続年数(3年が多い)
- 計算のもとになる額(基本給か、別に定めた額か)
- 自己都合のときの扱い(何割になるか)
特に③の「計算のもとになる額」は見落としがちです。基本給が低く設定されている職場では、退職金も小さくなります。
退職金について職場に確認するときの伝え方
「退職金いくらですか」と聞くと、辞める気があると思われそうで聞きづらいですよね。
その場合は、制度の話として聞けば印象が変わります。
「将来のことを考えて、うちに退職金の制度があるか確認しておきたいのですが」
「就業規則って、どこで見られますか」
これなら、今すぐ辞める話にはなりません。
転職前に退職金で確認すべきこと
これから転職する方は、入る前に確認できます。入ってからでは変えられません。
| 確認項目 | そのまま使える質問 |
|---|---|
| 制度の有無 | 「退職金制度はありますか」 |
| 最低勤続年数 | 「何年目から支給の対象になりますか」 |
| 自己都合の扱い | 「自己都合で退職した場合はどうなりますか」 |
| 共済の加入 | 「中退共などの制度には加入されていますか」 |
| 計算の基礎 | 「退職金は基本給をもとに計算されますか」 |
私は前の職場でこれを聞いていませんでした。出たから良かっただけです。同じ運任せはおすすめしません。
面接で聞きにくければ、エージェント経由で確認してもらえます。給与や制度の条件は、担当者から先方に聞いてもらうほうがスムーズです。
事業所選びで確認したいことは、こちらにもまとめています▼
退職金にかかる税金と退職所得控除
退職金にも税金はかかりますが、優遇されています。
退職所得控除額
- 勤続20年以下:40万円 × 勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)
- 勤続20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)
課税されるのは(退職金 − 控除額)× 1/2 の部分
出典:国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」
勤続10年なら控除は400万円。モデル退職金の水準なら、税金はかからない計算になります。
1つだけ注意です。「退職所得の受給に関する申告書」を出さないと、支払額の20.42%が源泉徴収されます。退職時に案内があるはずなので、忘れずに提出してください。
よくある質問
勤務先の規程によります。東京都の調査では、自己都合退職の場合「3年」を条件にしている企業が47.3%と最も多くなっています。2年11ヶ月で辞めると出ないこともあるので、規程を確認してください。
職種による差は基本的にありません。退職金は勤務先の制度で決まるため、同じ職場であればPTもOTもSTも同じ計算方法です。差がつくのは職種ではなく勤務先です。
規程しだいです。正職員のみを対象としている職場もあれば、一定の条件を満たせば対象になる職場もあります。就業規則の適用範囲を確認してください。
ないところもあります。私が働いている訪問の事業所には制度がありません。小規模な事業所ほど制度がない割合は高くなりますが、中退共に加入しているところもあるので、面接で確認するのが確実です。
退職金は法律で義務づけられた制度ではないため、ないこと自体は問題ではありません。東京都の調査では、医療・福祉の中小企業で制度があるのは42.9%でした。月給や賞与と合わせて総額で判断してください。
退職金は後払いの給料のようなものなので、ない場合はその分を自分で積んでおく前提で月給を見ることになります。私は貯蓄と副業収入の2本で考えています。具体的な商品選びは専門家にご相談ください。
まとめ
✓ 理学療法士に限った退職金の公的統計はない。金額を決めるのは勤務先の制度
✓ 退職給付制度がある企業は全体で74.9%。規模が小さいほど割合は低い
✓ 東京都の中小企業では、医療・福祉で制度があるのは42.9%
✓ モデル退職金の目安は勤続10年で約112万円(自己都合・大学卒)
✓ 自己都合退職は会社都合より少ない。最低勤続年数は「3年」が最多
✓ 確認すべきは、制度の有無・最低勤続年数・計算の基礎・自己都合の扱いの4つ
退職金は、働いているうちは見えにくいお金です。
私も前の職場では確認しないまま7年働き、今の職場には制度がないと知ったうえで移りました。
振り返って思うのは、あるかないかより、知ったうえで選べているかが大事だということです。
まずは就業規則を開いてみてください。私も今度、事務に聞いてみます。
そして転職を考えているなら、入る前に聞いておけば、それだけで防げます。
各社を横並びで比べたい方は、まずこちらをどうぞ▼
1社に絞って詳しく知りたい方はこちら▼
参考文献・出典一覧
- 厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」
- 東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」
- 内閣官房 内閣人事局「給与・退職手当」
- 厚生労働省「一般の中小企業退職金共済制度のしくみ」
- 独立行政法人福祉医療機構(WAM)「社会福祉施設職員等退職手当共済制度について」
- 国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」







