✓ 転職先の見学で何を聞けばいいか分からない
✓ 給料や休みのことを聞いて印象が悪くならないか不安
✓ 入ってから「聞いていた話と違う」を避けたい
「見学で、何を聞けばいいんだろう…」
転職を考えて、気になる病院や施設の見学が決まった。
でも、いざ質問を考えると手が止まる人は多いと思います。
新卒の就活とちがい、中途の見学では今の職場と比べて判断することになります。
だからこそ、聞くことを先に決めておくと、見学の1時間がぐっと役に立ちます。
・理学療法士15年目/訪問リハビリ8年目の現役PT
・リハ職のお金と転職に特化したブログ「お金のリハビリテーション室」運営
・最初の職場は老健で7年。そこから訪問へ転職
・訪問への転職は知人の紹介。転職エージェントの利用経験なし
この記事では、転職の見学でそのまま使える質問を、お金・働き方・職場のタイプ別にまとめます。
✓ 質問は「今の職場の不満」から決める
✓ 業務・フォロー体制・定着率に加えて、お金の質問も遠慮しない
✓ 老健は研修と残業、訪問は件数・インセンティブ・休みの取り方
✓ 聞きにくいことは「数字」で聞く
✓ 聞いた条件は、最後に労働条件通知書で確認
理学療法士の病院見学で質問する前の準備
見学の質問は、当日その場で考えるより、前の日までに決めておくほうがうまくいきます。
今の職場の不満から聞くことを決める
中途の転職には、必ず理由があります。
給料が上がらない、残業が多い、休みが取りにくい。その不満が次の職場で解消されるかどうかが、見学でいちばん確かめたいことです。
質問を決める3ステップ
- 今の職場の不満を3つ書き出す
- それぞれを「次の職場で確かめること」に言い換える
- 求人票で分からないものだけを質問に残す
たとえば「昇給が年数千円しかない」が不満なら、聞くことは「昇給の実績」です。
求人票とホームページで分かることは聞かない
病床数や診療科、基本給の額は、求人票やホームページに書いてあります。
書いてあることを聞くと、下調べをしていない人に見えてしまいます。
聞くのは、書いてあることの「中身」です。「基本給はいくらですか」ではなく、「基本給に含まれる手当はありますか」と聞けば、同じお金の質問でも印象が変わります。
聞く相手で質問を分ける
見学では、管理者が案内して、途中で現場のスタッフと話せることがあります。
| 相手 | 向いている質問 |
|---|---|
| 管理者・リハ部門の責任者 | 給与の仕組み・昇給・評価・部署の方針・採用の背景 |
| 現場のスタッフ | 実際の帰る時間・有給の取りやすさ・職場の雰囲気 |
制度は管理者に、実際の運用は現場のスタッフに聞くと、答えのずれが見えてきます。
理学療法士の病院見学で聞く質問リスト
まずは、どの職場でも聞いておきたい基本の質問です。
業務の質問
1日の忙しさは、担当の人数と単位数、記録の時間でほぼ決まります。
① 1人あたり、1日に何単位くらい担当されていますか?
② 単位数の目標やノルマはありますか?
③ カルテや書類は、勤務時間内に書ける時間がありますか?
④ 皆さん、だいたい何時ごろに帰られていますか?
⑤ 残業した分は、残業代として支払われていますか?
④は「残業はありますか」と聞くより答えやすく、実態に近い数字が返ってきます。
中途入職者へのフォローの質問
中途で入ると、新人のような研修はありません。その代わり、経験者をどう受け入れるかは職場によって大きく違います。
① 中途で入った方は、最初の何週間くらい先輩について仕事を覚えますか?
② 前の職場と違う分野の患者さんを担当するとき、相談できる方はいますか?
③ 勉強会や研修は、中途の職員も参加できますか?勤務時間内ですか?
私が訪問に中途で入ったときは、受け入れもフォローも良好でした。最初の受け入れ方がしっかりしている職場は、安心して力を出せます。
職場の雰囲気と定着率の質問
人間関係は、見学の短い時間ではなかなか分かりません。
そこで使えるのが、どれくらいの期間働き続けている人が多いかという質問です。
① リハビリのスタッフは、何年目くらいの方が多いですか?
② 今回の募集は、増員ですか?欠員の補充ですか?
③ 最近入った中途の方は、どんな経歴の方ですか?
②で「欠員の補充」と返ってきたら、それ自体は珍しくありません。同じ時期に何人も辞めていないかを、①とあわせて確かめておきます。
入職前に確認したいブラック職場のサインはこちらでまとめています▼
理学療法士の病院見学で聞くお金の質問
「お金のことを聞くと、印象が悪くなりそう」
そう感じて、給料の質問を避ける人は少なくありません。
私は新卒で老健に入るときの見学から、給料と休みのことはしっかり聞きました。働くうえで大事なことなので、聞きにくさはありませんでした。
中途の転職では、生活がかかっています。お金の質問は、聞き方さえ整えれば失礼にはなりません。
給与の内訳
求人票の「月給◯万円〜◯万円」には、基本給と手当がまとめて書かれていることがあります。
手当が多い給与だと、賞与や退職金の計算のもとになる基本給が低い場合があります。月給が同じでも、年収や退職金で差がつくところです。
① 求人票の月給には、どの手当が含まれていますか?
② 私の経験年数だと、基本給はどのあたりからのスタートになりますか?
③ 前職の経験年数は、給与に反映されますか?
月給から手取りがいくらになるかは、こちらで計算方法を解説しています▼
昇給と賞与の実績
理学療法士の昇給は、公的データで計算すると年平均約3,270円です。全産業の平均(約4,930円)の3分の2ほどのペースです。
※理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,視能訓練士の所定内給与額で、20〜24歳から50〜54歳までの差を30年で割った値。出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
つまり、入るときの給与だけでなく、入ってから上がるかどうかまで聞いておく必要があります。
ここで大事なのは「制度」ではなく「実績」を聞くことです。「昇給あり」「賞与年2回」は、多くの求人票に書いてあります。
① 昨年度の昇給は、だいたいどれくらいでしたか?
② 賞与は、昨年度は何か月分の支給でしたか?
③ 昇給や賞与は、どのような評価で決まりますか?
理学療法士の昇給の実態はこちらで詳しく解説しています▼
退職金の制度
退職金は、すべての職場にある制度ではありません。
厚生労働省の調査では、退職給付(一時金・年金)の制度がある企業は74.9%です。4社に1社は制度がない計算になります。
※全産業の企業の割合。出典:厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」
① 退職金の制度はありますか?何年目から対象になりますか?
② 退職金は法人独自の制度ですか?中退共などの共済ですか?
長く勤めるつもりの職場ほど、退職金の有無で生涯の収入が変わります。退職金の仕組みはこちらでまとめています▼
有給の取得実績
有給休暇の日数は法律で決まっていますが、実際に取れているかは職場によって違います。
| 付与日数 | 取得日数 | 取得率 | |
|---|---|---|---|
| 医療,福祉 | 17.7日 | 12.1日 | 68.4% |
| 全産業の平均 | 18.1日 | 12.1日 | 66.9% |
医療・福祉の平均は年12.1日です。見学先の答えがこの数字より大きく少なければ、休みにくい職場の可能性があります。
① 皆さん、有給は年に何日くらい取得されていますか?
② 有給は、希望の日に取れることが多いですか?
副業の可否
本業だけで収入を上げるのが難しい今、副業ができるかどうかも大事な条件です。
厚生労働省のガイドラインでは、企業が副業を認めているか、認める場合はその条件を公表することが望ましいとされています(2022年7月の改定)。ただし義務ではないので、聞かないと分からない職場がほとんどです。
私が副業できるかを確認したのは、訪問に移って2年目ごろでした。副業を考えているなら、見学の段階で聞いておくと先の計画が立てやすくなります。
① 就業規則で、副業は認められていますか?
② 認められている場合、届け出や許可は必要ですか?
「副業」という言葉を出しにくければ、「休日に、ほかの施設で非常勤として働くことはできますか」と聞くと自然です。
理学療法士の副業の始め方はこちら▼
職場のタイプ別に聞く質問
同じ理学療法士の仕事でも、病院・老健・訪問では、聞くべきところが違います。
老健
老健で7年働いた経験から、必ず聞いてほしいのは研修制度と残業です。
老健は病院に比べてリハ職の人数が少ないことが多く、職場によって学べる環境に差が出やすいからです。
① 法人内の研修や、外部研修への参加の補助はありますか?
② 残業になるのは、どんな業務のときが多いですか?
③ リハビリ以外に、担当する委員会や行事の準備はありますか?
訪問リハビリ
訪問8年目の立場から言うと、訪問は件数・インセンティブ・休みの取り方の3つで、働きやすさも収入もほぼ決まります。
① 1日の訪問件数は、平均で何件くらいですか?
② インセンティブはありますか?何件目から、どのような計算でつきますか?
③ スタッフが休んだ日の訪問は、代行・振替・キャンセルのどれになりますか?
④ 移動の時間は、勤務時間に含まれますか?
②は聞きにくい質問ですが、訪問の給料に直結します。インセンティブがある職場では、休んだ月に給料が下がるかもあわせて確認しておきます。
訪問リハビリの休みの取り方は、こちらで詳しく解説しています▼
病院(回復期・急性期)
病院では、単位数の目標と、土日祝日の出勤があるかどうかを確認しておきます。
① 1日の単位数の目標は、どれくらいに設定されていますか?
② 土日祝日のリハビリはありますか?ある場合、出勤はどのように回していますか?
③ 病棟の配属や担当の変更は、どれくらいの頻度でありますか?
在職中に病院見学へ行くときの注意
中途の見学は、今の仕事を続けながら行くことになります。
見学の日程
見学は平日の日中に受け付けている職場が多いので、休みの日か有給を使って予定を組みます。
候補の日を2〜3日出して相談すると、先方も調整しやすくなります。
今の職場には自分から話さない
転職先が決まる前に話が広がると、今の職場で働きにくくなることがあります。
特別なことをする必要はありません。自分からべらべら話さないくらいで十分です。
経験と転職の理由はそのまま話す
中途の見学では、こちらが質問されることもあります。経験年数、これまでの職場、転職を考えた理由などです。
私は聞かれたことを、そのまま答えました。取り繕うより、正直に話したほうが入ってからのずれも少なくなります。
ただし、今の職場の悪口に聞こえる言い方は避けます。「残業が多い」ではなく「家族との時間を増やしたい」のように、次の職場でかなえたいことに言い換えると、前向きに伝わります。
病院見学で聞きにくい質問の聞き方
残業や有給、給料のように聞きにくい質問は、「ある・なし」ではなく「数字」で聞くのがコツです。
| 聞きにくい聞き方 | 聞きやすい聞き方 |
|---|---|
| 残業はありますか? | 皆さん何時ごろに帰られていますか? |
| 有給は取れますか? | 年に何日くらい取得されていますか? |
| 給料は上がりますか? | 昨年度の昇給はどれくらいでしたか? |
| 人間関係はいいですか? | 何年目くらいの方が多いですか? |
数字で聞くと、相手も答えやすくなります。答えがはっきりしている職場は、ルールや実績をきちんと把握している職場だと考えられます。
聞かないほうがいい質問
見学で避けたい質問
- 求人票やホームページに書いてあること
- 「楽な仕事ですか」のような、働く意欲を疑われる聞き方
- ほかのスタッフ個人の給料や評判
- 条件の質問だけで終わる見学
お金の質問をしてもかまいません。ただ、仕事の中身の質問とセットで聞くと、条件だけを見ている人には見えません。
見学で聞いた条件は書面で確認する
見学で聞いた話は、あくまで口頭の説明です。
入職が決まったら、職場から労働条件通知書などの書面で、給与・労働時間・休日などの条件が示されます。労働基準法第15条で、事業者に明示が義務づけられているものです。
書面で見比べたいところ
- 見学で聞いた給与・手当の内訳と同じか
- 勤務時間・休日の日数
- 就業場所と業務の「変更の範囲」
3つ目の「変更の範囲」は、2024年4月から明示が必要になった項目です。将来の異動で、どの事業所やどの業務に移る可能性があるかが書かれます。
病院と老健、訪問を持っている法人では、ほかの施設への異動がありうるかをここで確認できます。
聞けなかったことは転職エージェントに確認してもらう
どれだけ準備しても、見学の場で聞ききれないことは出てきます。
とくに、昇給の実績やインセンティブの計算、退職者の多さは、本人から聞きにくい質問です。
そんなときは、転職エージェントを通して確認してもらう方法があります。PTOT人材バンクのようなリハ職専門のエージェントなら、見学の日程調整に加えて、求人票に書かれていない条件を代わりに確かめてもらえます。
PTOT人材バンクの評判や、連絡を止める方法はこちらで検証しています▼
理学療法士の病院見学でよくある質問
見学の時間は限られているので、たくさん用意するより優先順位をつけるほうが大切です。今の職場の不満につながる質問を上位に置き、時間がなければ上から順に聞いていきます。この記事の質問を全部聞く必要はありません。
大丈夫です。見学は、職場とこちらがお互いを知るための場で、入職の約束ではありません。合わないと感じたら、なるべく早めに、見学の時間をもらったお礼とあわせて伝えます。
中途の見学では、管理者との話がそのまま面接に近い形になることがあります。経験年数や転職の理由を聞かれても答えられるよう、簡単に整理しておくと安心です。
できます。私も訪問への転職では見学に行っていません。知人の紹介による転職だったので、条件を事前に詳しく聞けていたからです。紹介やエージェントで中の情報を確かめられるなら、見学なしでも判断できます。それ以外の場合は、見学で職場の空気を見ておくと安心です。
どちらでもかまいません。ただ、見学の段階で聞いておくと、条件の合わない職場の面接に進まずにすみます。見学で聞きにくければ、面接のときか、内定後に書面で示される条件で確認します。
まとめ|病院見学の質問は今の職場の不満から決める
✓ 質問は今の職場の不満を言い換えて決める
✓ 制度は管理者に、実際の運用は現場のスタッフに質問
✓ お金の質問は、給与の内訳・昇給と賞与の実績・退職金・有給・副業
✓ 老健は研修と残業、訪問は件数・インセンティブ・休みの取り方
✓ 聞きにくい質問は「数字」で聞く
✓ 聞いた条件は労働条件通知書で確認
中途の見学は、今の職場と比べられるぶん、新卒のときより多くのことが見えます。
聞くことを決めて行けば、1回の見学で転職するかどうかの判断材料がそろいます。
お金も休みも、働き続けるための大事な条件です。遠慮せずに聞いて、納得できる職場を選んでください。
転職の時期に迷っている方はこちらもどうぞ▼
参考文献・出典一覧
- 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(理学療法士等の年齢別の所定内給与額)
- 厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」(退職給付制度がある企業の割合)
- 厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」(産業別の有給取得率)
- 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和4年7月改定)
- 労働基準法 第15条(労働条件の明示)
- 厚生労働省「2024年4月からの労働条件明示のルール変更」(就業場所・業務の変更の範囲)
あわせて読みたい
- 理学療法士におすすめの転職サイト・エージェント比較ランキング【2026年版】
- 訪問リハビリに転職して後悔する?訪問8年目のPTが年収と本音を公開
- 理学療法士のブラック職場、見分けられますか?入職前に知るべき7つのチェックリスト
- 理学療法士は昇給しない?30年で月10万円という実態と3つの対策








