✓ 自分の手取りが少ないのか知りたい
✓ 額面と手取りの差が何なのか知りたい
✓ この先どれくらい手取りが増えるのか知りたい
求人票には「月給26万円」と書いてあったのに、振り込まれた額は21万円台。
この5万円近い差がどこへ消えているのか、はっきり説明できる人は多くありません。私も若手の頃は、明細の控除欄をほとんど見ていませんでした。
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・新卒は老健。初任給は手取り23万円(夜勤なし)
・明細の見方は職場では教わらず、親に聞いた。2年目の住民税もあとから知った
この記事では、理学療法士の手取りの目安と、額面から何がいくら引かれているかを、令和8年度の料率と公的データで計算して示します。
✓ 手取りは額面の約76〜79%。20代前半なら月20万円台前半
✓ 引かれているのは健康保険・厚生年金・雇用保険・所得税・住民税の5つ
✓ 2年目に手取りが増えないのは住民税のため。これは全員に起きる
✓ 控除は減らせない。手取りを増やすには額面を上げるしかない
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理学療法士の手取りはいくら?【年代別の目安】
先に金額をお伝えします。
厚生労働省の統計にある理学療法士の月給(額面)から、健康保険・厚生年金・雇用保険・所得税・住民税を引いて計算した目安が次の表です。
| 年代 | 額面(月) | 手取りの目安(月) | 手取り率 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 26万円 | 約20万6,000円 | 約79% |
| 25〜29歳 | 27万8,000円 | 約21万7,000円 | 約78% |
| 30〜34歳 | 30万8,000円 | 約24万円 | 約78% |
| 35〜39歳 | 32万1,000円 | 約24万9,000円 | 約78% |
| 40〜44歳 | 33万8,000円 | 約25万9,000円 | 約77% |
| 45〜49歳 | 36万4,000円 | 約27万9,000円 | 約77% |
| 50〜54歳 | 36万4,000円 | 約27万8,000円 | 約77% |
※試算の前提:東京都・協会けんぽ・扶養なし・一般の事業・令和8年度の料率。40歳未満は介護保険料なし、40歳以上は介護保険料を含む。住民税は同年代の年収(賞与込み)から概算。理学療法士に限った手取りの公的統計はないため、公的データの額面から試算した目安です。勤務先・自治体・扶養の人数で金額は変わります。
ここで覚えておきたいのが、手取りは額面の約76〜79%にしかならないという点です。年代が上がって額面が増えても、この比率はほとんど変わりません。
1年目だけは手取りが多くなる
上の表には住民税を含めています。ただし1年目に限っては、住民税が引かれません。
額面26万円・20代前半の手取り比較
- 1年目(住民税なし):約21万7,000円=額面の約83%
- 2年目以降(住民税あり):約20万6,000円=額面の約79%
同じ額面でも、月1万円以上の差が出ます。この仕組みは記事の後半でくわしく説明します。
年間でいくら残るか
月の手取りだけでなく、賞与を含めた1年分でも見ておきましょう。
| 年代 | 年収(賞与込み) | 年間の手取り |
|---|---|---|
| 20〜24歳 | 約345万円 | 約273万円 |
| 25〜29歳 | 約398万円 | 約313万円 |
| 30〜34歳 | 約444万円 | 約348万円 |
| 35〜39歳 | 約461万円 | 約360万円 |
| 40〜44歳 | 約491万円 | 約379万円 |
| 45〜49歳 | 約530万円 | 約409万円 |
| 50〜54歳 | 約536万円 | 約413万円 |
年収345万円でも、手元に残るのは約273万円。差は年間70万円以上です。
転職の面接で提示される年収も、この比率で考えておくと生活設計がぶれません。年収が50万円上がっても、手取りの増加は40万円前後にとどまります。
給料そのものの相場と、低いときの対策はこちらにまとめています▼
額面から引かれる5つのお金
給与明細の「控除」の欄に並んでいるのが、このお金です。
✓ 健康保険料(都道府県で異なる)
✓ 厚生年金保険料(18.3%の半分)
✓ 雇用保険料(額面の0.5%)
✓ 所得税(その月の金額で決まる)
✓ 住民税(前年の所得で決まる・2年目から)
このうち上の3つが社会保険料、下の2つが税金です。ひとつずつ見ていきます。
①健康保険料は都道府県で違う
健康保険料は、勤務先がどの健康保険に加入しているかと、都道府県によって料率が変わります。
中小の医療機関や介護事業所の多くが加入している協会けんぽの場合、令和8年度の料率は次のとおりです。
協会けんぽの健康保険料率(令和8年度)
- 東京都:9.85%
- 愛知県:9.93%
- 大阪府:10.13%
- もっとも高い佐賀県:10.55%
出典:全国健康保険協会「令和8年度の都道府県毎の保険料率」
※この料率を会社と本人で半分ずつ負担する
本人が負担するのはこの半分です。東京都なら9.85%の半分、約4.9%が引かれます。
また40歳になると介護保険料(全国一律1.62%の半分)が上乗せされます。誕生月から手取りが数千円減るので、40歳前後の方は覚えておいてください。
②厚生年金保険料は18.3%の半分
厚生年金の保険料率は18.300%で全国共通です。平成29年9月から変わっていません。
これを会社と本人で折半するため、本人の負担は9.150%になります。控除額としては、5つのなかでいちばん大きい項目です。
なお社会保険料は、月給そのものではなく標準報酬月額という区分をもとに計算されます。月給が26万円でも27万円でも、同じ区分なら保険料は同額です。
③雇用保険料は額面の0.5%
雇用保険料は、医療・介護を含む一般の事業の場合、令和8年度の労働者負担が1,000分の5(0.5%)です。
額面26万円なら1,300円です。金額は小さいものの、この保険料が失業給付や育児休業給付の元になっています。
※出典:厚生労働省「労働保険年度更新に係るお知らせ」。雇用保険料率は年度ごとに見直されるため、最新の料率を確認してください。
④所得税は社会保険料を引いたあとの額で決まる
ここが見落とされやすい点です。
所得税は額面にかかるのではなく、社会保険料を引いたあとの金額にかかります。
額面26万円から社会保険料3万7,895円を引くと22万2,105円。この金額と扶養の人数を国税庁の税額表に当てはめると、所得税は5,150円と決まります。
※出典:国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」月額表・甲欄(扶養親族0人)。
⑤住民税は前年の所得で決まる
住民税だけは、仕組みが大きく違います。
今年の給料ではなく、前年1年間の所得をもとに計算されます。金額は所得に応じた所得割10%と、定額の均等割を合わせたものです。
年収345万円(20代前半の目安)なら年間約14万円、月あたり約1万2,000円が目安になります。
※出典:総務省「個人住民税」。試算は扶養なし・標準税率・社会保険料控除と基礎控除のみを適用した概算。自治体や各種控除の有無で変わります。
額面26万円から手取りを計算する
ここまでの5つを、通して計算してみます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 額面(きまって支給する現金給与額) | 26万円 |
| 健康保険料 | −1万2,805円 |
| 厚生年金保険料 | −2万3,790円 |
| 雇用保険料 | −1,300円 |
| 所得税 | −5,150円 |
| 1年目の手取り | 21万6,955円 |
| 住民税(2年目から) | −約1万2,000円 |
| 2年目以降の手取り | 約20万5,000円 |
額面26万円に対して、引かれる合計は約5万5,000円。求人票の数字と振込額の差は、ここから生まれています。
私も一度、自分で額面と手取りの差を計算してみました。内訳が分かると、少なくとも「なぜか減っている」という不安はなくなります。
保険料は4〜6月の給与で決まる
健康保険料と厚生年金保険料の金額には、知っておくと得をする決まりがあります。
標準報酬月額は、毎年4月・5月・6月に支払われた給与の平均をもとに決まり、その年の9月から翌年8月まで使われます。
つまり4〜6月に残業が集中した年は、9月以降の1年間ずっと保険料が高くなります。
保険料が上がれば将来の年金額も増えるため、損とは言い切れません。ただ手取りが9月から減る理由を知っておくと、明細を見て慌てずにすみます。
ボーナスからも社会保険料が引かれる
賞与も同じです。健康保険・厚生年金・雇用保険・所得税が引かれます。
賞与30万円なら、社会保険料4万3,725円と所得税1万466円で、合計約5万4,000円が引かれる計算です。住民税は月々の給与から引かれるため、賞与からは引かれません。
※賞与の所得税は、前月の社会保険料控除後の給与額と扶養の人数から税率を求めて計算します(国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表)。上の試算は前月の給与26万円・扶養なしの場合。
私がこれを知ったのは、最初の賞与を受け取ってからでした。額面で期待していると、振込額を見て落ち込みます。
2年目に手取りが下がる理由
2年目になって「昇給したはずなのに増えていない」と感じたなら、原因は住民税です。
1年目は住民税が引かれない
住民税は前年の所得をもとに計算されます。学生だった前年は所得がないため、1年目は住民税がゼロです。
つまり1年目の手取りは、住民税が抜けている特別な状態です。これが2年目から通常の状態に戻ります。
天引きは2年目の6月から始まる
住民税の天引きが始まるのは、入職2年目の6月の給与からです。4月ではありません。
手取りの推移(額面26万円・昇給なしの場合)
- 1年目4月〜2年目5月:約21万7,000円
- 2年目6月以降:約20万5,000円
※住民税は前年の所得をもとに計算され、6月から翌年5月までの12回に分けて天引きされる
4月に昇給して少し増えた2か月後に、住民税で1万円前後引かれる。この順番のせいで「昇給が消えた」ように見えます。
昇給しても手取りが増えない仕組み
理学療法士の昇給は、年数千円の職場が珍しくありません。私自身、老健7年で昇給は合計14,000円でした。
一方で住民税は、2年目に月1万円前後が新しく引かれます。昇給額より住民税の増加のほうが大きいため、手取りは横ばいか、わずかに減ります。
私は明細では気づかず、あとから住民税のせいだと知りました。当時は仕組みをまったく知らず、「少し減ったな」という感覚だけが残っていました。
これは職場のせいではなく、働き始めた全員に起きることです。1年目の手取りを基準にして生活費を組んでいると、2年目に苦しくなります。
退職や転職で住民税の払い方が変わる
転職を考えている方は、ここも押さえておいてください。
住民税は前年の所得に対してかかるため、退職しても納める義務は残ります。退職する月によって、払い方が変わります。
✓ 1月〜5月に退職:5月分までの残額を最後の給与から一括で徴収
✓ 6月〜12月に退職:自分で納付するか、一括徴収を選ぶ
1〜5月に退職すると、最後の給与から数か月分の住民税がまとめて引かれます。手取りが大きく減るので、退職時期を決めるときは頭に入れておいてください。
※住民税の徴収方法は地方税法で定められています(総務省「個人住民税」)。扱いの詳細は勤務先または自治体に確認してください。
初任給の額そのものと、1〜3年目の賞与や昇給についてはこちらにまとめています▼
手取りが同じでもあとで差がつく3つのもの
月の手取りが同じ2つの職場でも、数年後の総額は大きく変わります。
✓ 基本給と手当の比率
✓ 賞与の月数
✓ 退職金制度の有無
基本給が低いと賞与も退職金も下がる
月給の構成が「基本給18万円+手当8万円」か「基本給24万円+手当2万円」かで、将来の金額が変わります。
理由は、賞与と退職金が基本給をもとに計算されることが多いためです。手当が厚い職場は、月の手取りは悪くないのに、賞与と退職金で差がついていきます。
賞与の月数は年収を大きく動かす
賞与が年2か月の職場と4か月の職場では、基本給20万円として年間40万円の差です。月の手取りで比べていると、この差は見えません。
退職金制度がない職場もある
退職金は法律で義務づけられたものではありません。制度がない事業所も実際にあります。
制度の有無や金額の目安はこちらにまとめました▼
自分の手取りが少ないか確認する3つのポイント
「手取りが少ない」と感じたときに、まず確認してほしいことです。
明細の控除欄を1行ずつ見る
控除欄に並んでいる金額が、この記事の計算と大きくずれていないか確かめてください。
明細で見るところ
- 控除欄の5項目(健康保険・厚生年金・雇用保険・所得税・住民税)
- 支給欄の基本給と手当の内訳
- 総支給額と差引支給額の差
私は若手の頃、明細をほとんど見ていませんでした。見方は職場では教わらず、結局は親に聞いて覚えました。
同年代の目安と比べる
この記事の最初の表と、自分の額面を比べてください。比べるのは手取りではなく額面です。
手取りは扶養の人数や住んでいる自治体でも変わるため、他人と比べる指標には向きません。
月給ではなく年収で比べる
賞与を含めた年収で比べないと、判断を間違えます。
月給が1万円低くても賞与が2か月多ければ、年収では逆転します。転職で条件を比べるときも、必ず年収ベースで計算してください。
求人票だけでは基本給と手当の内訳が分からないことも多いので、気になる職場があるなら内訳を確認してもらうのが早いです。
手取りを増やす方法
先に結論をお伝えすると、控除は自分では減らせません。
健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料は料率で決まり、所得税と住民税も所得で決まります。手取りを増やす方法は、額面を上げることだけです。
額面を上げる3つの方向
✓ 給与水準の高い領域へ移る(訪問・自費など)
✓ 役職や管理業務につく
✓ 条件のよい職場へ転職する
昇給が年数千円の職場にいる限り、手取りが大きく増えることはありません。額面を動かすほうが結果は早く出ます。
年収を上げる具体的な方法はこちらです▼
控除を減らす工夫には手を出さない
社会保険料を下げる、扶養の要件を操作するといった方法は、将来の年金額や保障を削ることにつながります。
医療費控除やふるさと納税のように制度として用意されたものはありますが、金額は限られます。まずは額面を上げるほうに力を使うのが確実です。
よくある質問
約76〜79%が目安です。1年目だけは住民税が引かれないため、約83%になります。扶養の人数や自治体、40歳以上かどうかで変わるため、幅のある数字として見てください。
額面26万円なら約21万7,000円が計算上の目安です。私の1年目は手取り23万円でした(夜勤・当直なし)。1年目は住民税が引かれないため、2年目より手取りが多くなります。
住民税です。住民税は前年の所得をもとに計算されるため、学生だった前年の所得がない1年目は引かれません。2年目の6月から天引きが始まるので、昇給しても手取りが横ばいか、わずかに減ります。
引かれます。健康保険・厚生年金・雇用保険・所得税が賞与からも天引きされます。住民税は月々の給与から引かれるため、賞与からは引かれません。
介護保険料が加わるためです。協会けんぽの場合は全国一律1.62%で、その半分を本人が負担します。額面34万円なら月1,500円前後、誕生月から引かれ始めます。
手取りは扶養の人数や自治体でも変わるため、他人と比べる指標には向きません。比べるなら額面と年収です。そのうえで基本給と手当の内訳、賞与の月数を確認してください。
額面を上げることです。控除は料率と所得で決まるため、自分で減らすことはできません。給与水準の高い領域へ移るか、条件のよい職場へ転職するのが現実的です。
まとめ
✓ 手取りは額面の約76〜79%。1年目だけは住民税がないため約83%
✓ 引かれるのは健康保険・厚生年金・雇用保険・所得税・住民税の5つ
✓ 2年目の6月から住民税が加わり、昇給しても手取りは横ばい
✓ 月の手取りが同じでも、基本給の比率・賞与の月数・退職金制度で差がつく
✓ 控除は減らせない。手取りを増やすなら額面を上げる
手取りが少ないと感じたとき、原因が分かっていないままだと不安だけが残ります。内訳を知れば、何を変えれば増えるのかもはっきりします。
若手の方に伝えたいのは、税金の勉強が必要だということです。そして、知るだけでは増えません。増やす努力もセットで必要です。
いまの職場の条件が相場と比べてどうなのか、まずは知ることから始めてください。
参考文献・出典一覧
- 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(年代別の月給・年間賞与)
- 全国健康保険協会「令和8年度の都道府県毎の保険料率」(健康保険料率・介護保険料率)
- 日本年金機構「保険料額表」(厚生年金保険料率・標準報酬月額)
- 厚生労働省「労働保険年度更新に係るお知らせ」(雇用保険料率)
- 国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」(所得税)
- 総務省「個人住民税」(住民税の計算方法)
※保険料率と税額表は年度ごとに改定されます。本記事は令和8年度(2026年度)の料率で計算しています。
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