✓ 自分の初任給が低いのか知りたい
✓ 1年目の年収がいくらになるか知りたい
✓ この先いくら上がるのか不安
初めての給与明細を見て、「あれ、こんなものか」と思いませんでしたか。
国家試験に合格して、3〜4年かけて資格を取って、ようやく働き始めた1年目。それでも手取りの金額を見ると、想像していたより少ないはずです。
私もそうでした。そして2年目になると、さらに「増えていない」と感じることになります。
・理学療法士15年目/訪問リハビリ8年目の現役PT
・リハ職のお金と転職に特化したブログ「お金のリハビリテーション室」運営
・新卒は老健。初任給は手取り23万円(夜勤なし)
・老健7年の昇給は合計14,000円。3年目に「上がらない」と気づく
この記事では、初任給の目安から2年目・3年目に何が起きるかまでを、公的データと私の実体験でお伝えします。
✓ 初任給そのものは、他の職種と比べて低くない
✓ 1年目の年収は2年目以降より低い。賞与が満額出ないため
✓ 問題は金額より、3年目以降の伸びにくさ
先に転職先の候補を見ておきたい方は、理学療法士におすすめの転職サイト・エージェント比較ランキング【2026年版】で各社を比べられます。
1社に絞って詳しく知りたい方は、PTOT人材バンクは登録すべき?14年目PTが公式データで検証もあわせてどうぞ。
理学療法士の初任給はいくら?【目安】
まず金額の目安からお伝えします。
理学療法士など(PT・OT・ST・視能訓練士)の20〜24歳
- 所定内給与額:25万1,800円
- きまって支給する現金給与額:26万500円
- 平均勤続年数:1.4年
出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)第5表
同じ調査の学歴別の初任給と並べると、こうなります。
| 区分 | 金額 |
|---|---|
| 理学療法士など 20〜24歳 | 25万1,800円 |
| 大学卒の初任給 | 24万8,300円 |
| 高専・短大卒の初任給 | 22万3,900円 |
| 専門学校卒の初任給 | 22万2,800円 |
| 高校卒の初任給 | 19万7,500円 |
勤続1.4年の平均値なので、純粋な初任給より少し高めに出ます。それでも大学卒の初任給と並ぶ水準です。
専門学校(3年制)を出た場合は、1年早く働き始めて、専門学校卒の平均より高い金額からスタートできることになります。
私は手取りで23万円。夜勤はなしで、同期と比べても少し高いほうでした。
つまり「理学療法士の初任給が低い」とは言いにくいのが実際のところです。
※理学療法士に限った初任給の公的統計はありません。学歴別の数字と、20〜24歳の実額を目安として示しています。
給料全体の相場はこちらにまとめています▼
理学療法士の初任給が低いか判断する3つの基準
金額だけを見ても、高いか低いかは判断できません。見るべき点が3つあります。
基準① 学歴別の初任給と比べる
まずは先ほどの表と比べてください。
専門学校卒なら22万2,800円、大学卒なら24万8,300円が平均です。この前後なら、世間一般と同じ水準ということになります。
基準② 基本給と手当を分けて見る
ここが一番大事です。
総額が同じでも、基本給が低く、手当で金額を作っている職場があります。
・賞与(基本給の◯ヶ月分で計算されることが多い)
・昇給(基本給に対して上がるため、伸びが小さくなる)
・退職金(基本給をもとに計算する職場が多い)
手当は固定で増えませんが、基本給は賞与・昇給・退職金のすべての土台になります。同じ月給25万円でも、基本給18万円+手当7万円と、基本給23万円+手当2万円では、数年後に差がつきます。
私は入職のときから内訳を見ていました。ここだけは確認しておいてよかったと思います。
基準③ 賞与と昇給をセットで判断する
月給が少し低くても、賞与が4ヶ月分あれば年収は逆転します。
逆に月給が高くても、賞与が年2ヶ月分で昇給が年1,000円なら、3年後には追い抜かれます。
初任給はスタート地点であって、ゴールではありません。判断するなら、年収と数年後の見通しで比べてください。
理学療法士の初任給は手取りでいくらか
額面26万円なら、手取りは約21万7,000円です。健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・所得税で、5万円近くが引かれます。
私の1年目は手取り23万円でした(夜勤・当直なし)。同期と比べると、少し高いほうだったと思います。
ただし1年目は住民税が引かれない特別な年です。住民税は前年の所得をもとに計算されるため、学生だった前年の所得がない1年目はゼロになります。
2年目の6月から住民税が加わり、昇給しても手取りが横ばいになります。
私も2年目に「あれ、増えていない」と感じました。昇給したはずなのに、です。
引かれるお金の内訳と、年代別の手取りの目安はこちらにまとめました▼
初任給×12か月が1年目の年収にならない理由
もう1つ、1年目だけに起きることがあります。賞与です。
1年目の賞与は満額出ないことがある
賞与は「対象となる期間にどれだけ在籍していたか」で計算されます。
4月に入職すると、夏の賞与までの在籍期間は2〜3ヶ月しかありません。そのため夏の賞与は満額にならない職場が多く、満額になるのは冬からです。
私も夏は満額ではなく、冬からでした。知らないと「少ない」と驚きます。
これは公的データにも表れています。
| 年齢 | 年間賞与 |
|---|---|
| 20〜24歳 | 32万1,300円 |
| 25〜29歳 | 64万300円 |
| 30〜34歳 | 74万4,900円 |
20〜24歳の賞与は、25〜29歳の約半分です。1年目を含む年代だからこその数字といえます。
求人票の想定年収は2年目以降の数字
求人票に「年収350万円〜」と書いてあっても、それは賞与が満額出た場合の金額です。
1年目は賞与が減るぶん、想定年収より数十万円低くなると見ておいたほうが現実的です。
転職するときも同じです。入職月によって1年目の年収は変わるので、提示された年収をそのまま受け取らないでください。
初任給から2年目・3年目でいくら伸びるか
ここからが、この記事で一番お伝えしたい部分です。
初任給そのものは、他の職種と比べて低くありません。問題は、そこからの上がり方です。
昇給は年数千円のことがある
私が最初に勤めた老健の昇給は、年2,000円ほどでした。
7年勤めて、合計で14,000円です。月給に換算すると、7年かけて1万4,000円しか増えなかったことになります。
「思ったより上がらないな」と気づいたのは3年目でした。1年目は気づきません。
1年目・2年目は、まだ差がはっきりしません。3年ほど経ってから、同期や他職種との違いが見えてきます。
初任給が高い職場ほど伸びないことがある
意外に思われるかもしれませんが、初任給が高い職場が、そのまま良い職場とは限りません。
人を集めるために初任給を高めに設定し、その後の昇給が小さい職場もあるからです。前の章で書いたとおり、手当で金額を作っている場合も同じです。
年代別の推移を見ると、全体像がつかめます。
| 年齢 | 月給 | 年間賞与 | 年収の目安 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 26.1万円 | 32.1万円 | 約345万円 |
| 25〜29歳 | 27.8万円 | 64.0万円 | 約398万円 |
| 30〜34歳 | 30.8万円 | 74.5万円 | 約444万円 |
| 35〜39歳 | 32.1万円 | 75.4万円 | 約461万円 |
| 40〜44歳 | 33.8万円 | 85.5万円 | 約491万円 |
20代の5年間で増えるのは月1万7,000円ほどです。ここを知らずに「そのうち上がるだろう」と待っていると、3年目に気づくことになります。
3年後・5年後の金額を先に確認する
これは今日からできます。
・就業規則や給与規程に書かれた昇給の仕組み
・3年目・5年目の先輩の給与水準
・賞与の実績(何ヶ月分が何年続いているか)
先輩に直接金額を聞くのは気が引けるなら、「昇給ってどれくらいのペースですか」と仕組みを聞く形にすれば答えてもらいやすくなります。
昇給が伸びない構造については、こちらで詳しく解説しています▼
初任給が低い職場を続けるか動くか
給料に納得がいかないとき、動くべきか迷うと思います。
「3年は我慢」の3年に根拠はあるか
よく言われる「最低3年は続けろ」。この3年に、お金の面での根拠が1つだけあります。
退職金です。
退職一時金を受け取るための最低勤続年数(自己都合の場合)
- 3年:47.3%
- 1年:14.2%
- 2年:11.6%
- 5年以上:11.4%
約半数の企業が「3年」を条件にしています。つまり2年11ヶ月で辞めると、退職金が1円も出ない可能性があるということです。
逆に言えば、3年で変わるのはそこだけです。
「3年は続けろ」は、今の時代に合っていないと思っています。根拠を確認してから決めてください。
自分の職場に退職金制度があるのか、何年目から対象になるのか。確認の仕方はこちらにまとめました▼
動く前に確認する4項目
・昇給の幅(年いくら上がるのか)
・賞与の実績(何ヶ月分が何年続いているか)
・基本給と手当の内訳
・退職金制度の有無と、対象になる勤続年数
この4つを調べたうえで「それでも厳しい」と判断したなら、動く理由がはっきりします。なんとなく不満で辞めるのと、数字を見て決めるのとでは、次の職場選びがまったく変わります。
初任給が低いときに給料を上げる方法
昇給が年数千円なら、待っていても大きくは変わりません。方法は3つあります。
・職場の種類を変える(訪問リハビリなど、単価の高い領域へ)
・手当のある職場を選ぶ(役職・資格・オンコールなど)
・本業以外の収入をつくる(非常勤・ライティングなど)
ただし新人のうちに訪問へ移るのはおすすめしません。訪問は一人で判断する場面が多く、教育体制が整っていない事業所もあるためです。経験を積んでからでも遅くありません。
訪問リハビリの給料が高い理由はこちら▼
年収を上げる方法を全体から見たい方はこちら▼
よくある質問
よくあることです。賞与は対象期間の在籍月数で計算されるため、4月入職だと夏の賞与は満額になりません。冬から満額になる職場が多く、私もそうでした。
住民税です。住民税は前年の所得をもとに計算されるため、学生だった前年の所得がない1年目は引かれません。2年目から引かれ始めるので、昇給しても手取りが増えない、場合によっては減ることがあります。
金額だけでは判断できません。基本給と手当の内訳、賞与の月数、昇給の幅をセットで比べてください。月給が少し低くても、基本給が高く賞与が多い職場のほうが、数年後の年収は上になることがあります。
職種による差は基本的にありません。公的な統計でもPT・OT・ST・視能訓練士はまとめて集計されています。差がつくのは職種ではなく勤務先です。
辞めること自体は可能です。ただし退職金は「勤続3年以上」を条件にしている企業が約半数あるため、金銭面では不利になります。昇給の幅や賞与の実績を確認したうえで、それでも続ける意味がないと判断できるなら、動く理由としては十分です。
必ずしも連動しません。人を集めるために初任給を高くして、その後の昇給が小さい職場もあります。初任給の額ではなく、3年目・5年目の先輩がいくらもらっているかで判断してください。
まとめ
✓ 20〜24歳の所定内給与額は25万1,800円。大学卒の初任給と並ぶ水準
✓ 理学療法士に限った初任給の公的統計はない
✓ 判断の基準は、学歴別の平均・基本給と手当の内訳・賞与と昇給の3つ
✓ 2年目は住民税が加わるため、昇給しても手取りは横ばい
✓ 1年目の賞与は満額にならないことが多く、年収は求人票より低くなる
✓ 問題は初任給の額より、3年目以降の伸びにくさ
初任給の金額そのものは、悲観するほど低くありません。
ただ、そこから先の上がり方は、自分で動かないと変わりません。私がそれに気づいたのは3年目でした。
新人の自分に一言だけ言えるなら、「転職も副業も、もっと早く考えておけよ」です。
今すぐ辞める必要はありません。まずは自分の給与明細の内訳と、3年目の先輩の金額を確認するところから始めてください。
他の職場の条件を知っておきたい方は、こちらで各社を比べられます▼






