✓ 訪問リハビリは休めないと聞いて不安
✓ 有給を取るたびに気を遣って疲れる
✓ 休みやすい事業所の見分け方を知りたい
「訪問リハビリって、休めないんでしょ?」
訪問リハビリについて調べると、よく出てくる話です。
訪問で8年働いてきた実感としては…休めないわけではありません。
ただ、休むまでにやることが病院や施設より多いのは確かです。
・理学療法士15年目/訪問リハビリ8年目の現役PT
・リハ職のお金と転職に特化したブログ「お金のリハビリテーション室」運営
・最初の職場は老健で7年。そこから訪問へ転職
・二児の父。子どもの発熱で急に休んだ経験あり
この記事では、訪問リハビリが休みにくい理由と、休みやすい事業所の見分け方をまとめます。
✓ 訪問リハビリは休める。ただし休む前後の調整は自分の仕事
✓ 医療・福祉の有給取得率は68.4%で、全産業の平均より高い
✓ 休みにくさの原因は、担当制・振替の調整・出来高制の給料
✓ 休みやすさは事業所で決まる。面接で休みの仕組みを確認する
訪問リハビリが休めないと言われる理由
休みにくさの原因は、忙しさより働き方の仕組みにあります。
担当制で代わりがいない
訪問リハビリは、1人の利用者を決まったセラピストが担当する形が多いです。
病院や施設なら、同じフロアの誰かが代わりに入れます。訪問では、利用者の家に行けるのは担当の自分だけという状態になりやすいです。
老健にいたころは、私が休んでもほかのスタッフがカバーしてくれました。訪問で代わりに行ってもらうときは、利用者の情報や回るルートを送る準備が必要です。
休んだ分の訪問の調整
事業所によっては、利用者のリハビリを休みにしないことを求められます。
その場合、自分が休む日の訪問は、ほかのスタッフに代わってもらうか、別の日に振り替えるかのどちらかです。
振替の日程は、利用者の予定と自分の空き時間を合わせて決めるので、ここに手間がかかります。
出来高制の給料
訪問リハビリには、訪問の件数に応じてインセンティブがつく給与体系があります。
この形だと、休んだ日は件数が減り、その月の給料も下がります。休むかどうかを、お金で迷うことになります。
利用者への責任感
毎週同じ時間に待ってくれている利用者がいると、休むことに気が引けます。
ただ、これは担当制の裏返しでもあります。代わりの体制が整っている事業所なら、責任感で無理をする必要はありません。
訪問リハビリのきつさ全般はこちらでまとめています▼
訪問リハビリの有給休暇
「休めない」と言われますが、有給休暇のルールは訪問でも病院でも同じです。
年5日の取得義務
2019年4月から、年10日以上の有給休暇が付与される労働者には、年5日を必ず取得させることが使用者に義務づけられています。
年5日の取得義務のポイント
- 対象は年10日以上の有給休暇が付与される労働者
- 付与された日から1年以内に5日の取得
- 取得させる義務を負うのは事業所側
つまり、「訪問だから有給はゼロ」という働き方は法律上できません。
医療・福祉の有給取得率
実際にどれくらい取れているのかを、厚生労働省の調査で見てみます。
| 付与日数 | 取得日数 | 取得率 | |
|---|---|---|---|
| 医療,福祉 | 17.7日 | 12.1日 | 68.4% |
| 全産業の平均 | 18.1日 | 12.1日 | 66.9% |
| 宿泊業,飲食サービス業(最低) | 15.9日 | 8.0日 | 50.7% |
| 電気・ガス・熱供給・水道業(最高) | 19.5日 | 14.7日 | 75.2% |
医療・福祉の取得率は68.4%で、全産業の平均より高いという結果です。
※訪問リハビリだけの取得率の公的統計はありません。病院・施設・介護事業所などを含む「医療,福祉」全体の数字です。
業界として休みが取れない分野ではありません。取りにくさを感じるのは、休むための手続きが自分に返ってくるからです。
私の事業所でも有給は取れます。ただ、その日の利用者を別の日に回せるかどうか、自分で交渉してから休む形です。
有給の日のインセンティブ
出来高制の事業所では、ここを確認しておく必要があります。
有給休暇の日は基本給が支払われます。一方で、件数に応じたインセンティブまで補填されるかは事業所によって違います。
私の事業所は、有給を使った日のインセンティブは補填されません。休んだ月は、その分だけ給料が下がります。
補填がない事業所では、休むほど収入が減ります。給与体系を知っておけば、休む月と稼ぐ月を自分で計画できます。
訪問リハビリの給料が下がる原因はこちらで解説しています▼
訪問リハビリで急に休むときの流れ
前もって決まっている休みより、大変なのは急な休みです。
代行・振替・キャンセルの違い
休んだ日の訪問の扱いは、主に3つです。どれになるかは事業所の方針で決まります。
| 扱い | 中身 | 休む側の負担 |
|---|---|---|
| 代行 | ほかのスタッフが代わりに訪問する | 利用者の情報・ルートの引き継ぎ |
| 振替 | 別の日に訪問をずらす | 利用者との日程調整 |
| キャンセル | その回の訪問をなしにする | 利用者への連絡 |
キャンセルにできる事業所なら、休む側の負担は軽くなります。代行と振替が中心の事業所では、休む日にも調整の仕事が残ります。
休む当日の連絡
急に休む日は、利用者への連絡が必要になります。
急に休む日にやること
- 管理者への連絡
- 代行してもらう場合は、利用者の情報とルートの共有
- 利用者・家族への電話連絡
- 振替の場合は、別の日程の調整
ここで手間がかかるのが電話です。利用者が電話に出ないこともあれば、話がうまく伝わらないこともあります。
子どもが熱を出した日は、利用者と連絡が取れるまで電話をかけ続けました。休んでいるのに、意外と気が休まりません。自分が高熱を出したときも、電話だけはしなければいけませんでした。
だからこそ、急な休みの連絡を事務スタッフや管理者が代わってくれる事業所は、それだけで休みやすさが大きく違います。
訪問リハビリで休みやすい職場の特徴
ここまでの理由を裏返すと、休みやすい職場の条件が見えてきます。
| 項目 | 休みやすい職場 | 休みにくい職場 |
|---|---|---|
| スタッフの人数 | 代わりに行ける人がいる | ギリギリの人数 |
| 担当の決め方 | 複数人で担当を共有 | 完全な担当制 |
| 休んだ日の訪問 | 代行やキャンセルが認められる | 振替が前提 |
| 当日の連絡 | 事務や管理者が手伝う | すべて自分で連絡 |
| 給与体系 | 固定給、または有給の日も補填あり | 出来高で補填なし |
すべてそろう職場は多くありません。自分が何を優先するかで選ぶのが現実的です。
たとえば子育て中なら、急な休みに強い「人数」と「当日の連絡」を優先する。収入を優先するなら、出来高制でも休む月を自分で調整する。条件を知ったうえで選べば、休みにくさは自分で管理できます。
訪問リハビリの面接で確認する質問
休みやすさは、求人票を見てもほとんど分かりません。面接や見学で直接聞くのが確実です。
転職のときに聞いておけばよかったのは、休んだ日が代行なのか振替なのか、という休みの取り方の仕組みでした。
① スタッフが休んだ日の訪問は、代行・振替・キャンセルのどれになりますか?
② 振替の日程調整は、担当者が自分で行いますか?
③ 急に休むとき、利用者への連絡はどなたがされていますか?
④ 有給休暇は、皆さん年に何日くらい取得されていますか?
⑤ 給与にインセンティブがある場合、有給の日の分は補填されますか?
聞きにくければ、①と③だけでも十分です。答え方がはっきりしている事業所は、休みのルールが整っていると考えられます。
自分で聞きにくい⑤のような質問は、転職エージェントに代わりに確認してもらう方法もあります。
訪問リハビリで休めないときの対処法
今の職場が休みにくいと感じている場合の方法です。
管理者への相談
まずは、休むときの負担を具体的に伝えます。
「休むのがつらい」ではなく、「当日の電話連絡を誰かに頼めないか」「担当を複数人で共有できないか」と仕組みの話にすると、事業所も対応を考えやすくなります。
休みの予定の早めの共有
決まっている休みは、早めに利用者へ伝えておきます。
振替の日程は、直前より前もって相談したほうが合わせやすくなります。休む前の調整を前倒しにするだけで、休みの日の負担は軽くなります。
休める事業所への転職
人数や給与体系は、個人の工夫では変えられません。
相談しても変わらないなら、訪問リハビリを続けたまま、休みの仕組みが整った事業所に移るという選択肢があります。訪問の経験は、そのまま次の事業所で活かせます。
PTOT人材バンクのような転職エージェントなら、代行の体制や有給の取得状況など、求人票に書かれていない情報を事前に確認してもらえます。
辞めるか続けるかで迷っている方はこちらもどうぞ▼
訪問リハビリの休みに関するよくある質問
労働基準法では、有給休暇は労働者が希望した日に与えるのが原則です。事業の正常な運営を妨げる場合に限り、事業所は別の日に変更してもらうことができます(時季変更権)。休み自体をなしにすることはできないので、別の日を相談する形になります。
事業所が労働者の代表と書面で協定を結んでいれば、年5日分までは時間単位で取れます。午前の訪問だけ休んで子どもの通院に付き添う、といった使い方ができます。協定があるかどうかは事業所ごとに違うので、就業規則で確認してください。
法律上の有給休暇は、入職から6か月続けて勤務し、出勤日の8割以上出勤すると10日付与されます。それまでは法律上の有給はありません。入職直後から使える休暇を独自に設けている事業所もあるので、転職するときは付与のタイミングも確認しておくと安心です。
あります。週の勤務日数が少ない場合も、勤務日数に応じた日数の有給休暇が付与されます(比例付与)。掛け持ちで訪問リハビリに入っている場合も対象です。
健康保険の「傷病手当金」があります。病気やケガで連続して3日休んだあと、4日目以降の仕事に就けなかった日に支給され、1日あたりの額は標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2です。同じ病気やケガで通算1年6か月まで受け取れます。協会けんぽの場合の内容なので、加入している健康保険で確認してください。
出来高制の事業所では減ることがあります。利用者の入院や体調不良でキャンセルが続くと、その分の件数が減るためです。私の事業所も、キャンセルになった分の報酬は出ません。固定給の事業所なら、キャンセルで給料が変わることはありません。
事業所によります。土日休みの事業所もあれば、土曜や祝日も営業している事業所もあります。私の事業所は完全週休2日で、私自身は祝日も出勤する契約にしています。
まとめ|訪問リハビリの休みやすさは事業所で決まる
✓ 訪問リハビリは休める。ただし代行・振替の調整が必要
✓ 年5日の有給取得は法律上の義務
✓ 医療・福祉の有給取得率は68.4%で全産業の平均より高い
✓ 出来高制では、有給の日のインセンティブ補填の有無を確認
✓ 休みやすい職場は、人数・担当の共有・当日の連絡体制が整った職場
✓ 面接では「代行か振替か」「急な休みの連絡は誰がするか」を質問
訪問リハビリが休みにくいのは、休むための調整が自分に返ってくる仕組みがあるからです。
逆に言えば、その仕組みが整っている事業所を選べば、訪問でもきちんと休めます。
休みの仕組みは、入ってからでは変えにくい部分です。転職するなら、給料と同じくらい大事な条件として確認してみてください。
訪問リハビリに向いているかを確かめたい方はこちら▼
参考文献・出典一覧
- 労働基準法 第39条(年5日の有給休暇の取得義務)
- 厚生労働省「年次有給休暇の時季指定」(2019年4月施行の内容)
- 厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」(産業別の有給取得率)
- 全国健康保険協会「傷病手当金」(支給の条件と金額)
あわせて読みたい
- 訪問リハビリの給料が下がる7つの原因|訪問8年目の現役PTが解説
- 訪問リハビリを辞めたい?辞める前に事業所を疑ってください
- 訪問リハビリはきつい?メリット・デメリットを解説
- 訪問リハビリの給料が高い理由|事業所選びのポイントも紹介




