「今の職場では給料が上がらない」「そろそろ動いたほうがいいのかもしれない」
そう思って転職を調べ始めると、必ず出てくるのが転職エージェントです。中でもリハビリ職向けとして名前が挙がるのがPTOT人材バンクです。
ただ、検索すると「しつこい」という言葉がやたらと目につきます。登録した瞬間に電話が鳴り止まなくなるのでは、と不安になるのも当然だと思います。
「しつこい」って書いてあるだけで、登録する気がなくなりますよね。私も同じタイプです。
最初にお伝えしたいことはこちら。
・理学療法士14年目。現在は訪問リハビリの現場にいます
・最初の職場に8年いましたが、昇給は年2,000円程度でした
・病院から訪問に移り、年収450万円 → 500万円になりました
・ただし私の転職は知人の紹介で、転職エージェントは使っていません
使っていないサービスを「最高でした!」とは書けません。なので、調べられることだけを正直に並べます。
この記事では、公式が公開しているデータと、公的な制度と、実際に利用した人の口コミを突き合わせて、登録すべきかどうかを判断できる材料だけを並べます。
連絡を止める文面もそのまま使える形で用意したので、必要な方はこちらから読んでください。
結論:登録するかどうかは、この3つで決まります
結論だけ知りたい方も多いと思うので、最初に置いておきますね。
① 求人数は業界でも多い部類。特に地方在住なら選択肢が増える
② 「連絡が多い」は事実。ただし登録時のひと言でほぼ解決する
③ 自分で求人を探せて、条件も明確な人には不要
※登録は無料です。理由まで知りたい方は、このまま読み進めてください。
転職エージェントは、使えば必ず得をするサービスではありません。向いている人と、そうでない人がはっきり分かれます。
その判断ができるように、まず「そもそもなぜ無料なのか」という仕組みから説明します。ここが分かると、「しつこい」と言われる理由も自然に理解できます。
なぜ無料で使えるのか|転職エージェントの仕組み
転職エージェントが求職者から一切お金を取らないのは、採用した施設側が紹介手数料を払っているからです。
この手数料は法律(職業安定法)で枠が決められていて、有料職業紹介事業者は2つの方式から選びます。
| 方式 | 上限 | 実際 |
|---|---|---|
| 上限制手数料 | 支払われた賃金の10.5% | 採用する事業者はごく少数 |
| 届出制手数料 | 50%まで自由に設定 | こちらが主流。相場は理論年収の27.5〜38.5%程度 |
つまり、年収400万円の理学療法士が入職すると、100万円を超えるお金が施設からエージェントに支払われる計算になります。
これは完全な成功報酬です。登録者が転職しなければ、エージェント側の収入はゼロです。
この構造を知っておくと、次の2つが腑に落ちます。
- なぜ求職者は無料で、しかも手厚く対応してもらえるのか
- なぜ連絡が積極的になりやすいのか
担当者が意地悪なわけでも、押し売りをしたいわけでもありません。そういう報酬体系の上で仕事をしている、というだけです。
ここを理解したうえで自分の状況を先に伝えれば、やり取りはかなり楽になります。具体的な方法は後半に書きます。
PTOT人材バンクの基本情報|公式データで確認
数字はすべて公式サイトから取りました。求人数は変動するので、登録前にご自身でも確認してみてください。
公式サイトで公開されている数字です(2026年8月時点)
| 運営会社 | 株式会社エス・エム・エス |
| 上場市場 | 東証プライム市場(証券コード2175) |
| 公開求人数 | 71,793件 |
| └ 理学療法士 | 30,247件 |
| └ 作業療法士 | 26,980件 |
| └ 言語聴覚士 | 14,566件 |
| 対応エリア | 全国 |
| 利用料金 | 無料 |
| 転職成功実績 | 23,000人以上 |
| 年間利用者 | 11,000人以上 |
| サービス開始 | 14年 |
運営会社は上場企業
運営する株式会社エス・エム・エスは、2008年に東証マザーズへ上場し、2011年に東証一部、2022年の市場区分変更でプライム市場に移行しています。
看護師向けの「ナース人材バンク」なども手がけている会社で、医療・介護分野の求人網をもともと持っているのが強みです。
個人情報を預けることになるので、運営元がどこか分からないサービスより安心材料が多いのは確かです。
PT求人3万件をどう見るか
理学療法士だけで30,247件というのは、リハ職特化のサービスとしては多い部類です。
ただし、ここは正直に言うと…
求人数の多さは「自分に合う求人の数」ではありません。
全国の理学療法士求人:約30,000件
↓ 通勤できるエリアに絞る
数百件
↓ 領域を絞る(訪問/回復期/急性期/施設)
数十件
↓ 給与・残業・単位数の条件を足す
一桁になることもある
なので求人数は、「理想の職場が必ず見つかる根拠」ではなく「選択肢がゼロにならない保険」として見るのが現実的です。
逆に言えば、条件を絞ったときに候補が残りやすいのは母数が大きいサービスです。地方在住の方ほど、この差は効いてきます。
「しつこい」は本当か|口コミを検証
PTOT人材バンクを紹介しているレビューサイトを複数確認したところ、「しつこい」というキーワードは、ほぼすべてのサイトで扱われていました。それだけ多くの人が気にしているテーマです。
報告されている内容を、良い評価と悪い評価の両方に分けて整理します。
報告されているネガティブな声
- 仕事中にも電話がかかってきた
- メールの本数が多い
- 転職先が決まった後も、求人の連絡がしばらく続いた
リハビリ職は日中ずっと患者さんに入っていて、スマホを見られる時間がほとんどありません。休憩時間も記録に追われることが多いと思います。
この働き方と、日中に電話をかけてくる連絡方法の相性が悪いのは、構造的な問題です。担当者が悪いというより、噛み合っていない。
報告されているポジティブな声
- 細かく対応してくれて安心できた
- 一人では不安だったので助かった
- 条件の交渉を代わりにやってもらえた
注目したいのは、まったく同じ「連絡が多い」という対応が、ある人には「しつこい」に、別の人には「手厚い」に感じられている点です。
評価が割れる理由
| 登録した人の状態 | 同じ対応がどう感じられるか |
|---|---|
| 今すぐ転職したい/一人だと不安 | 手厚い・助かった |
| 情報収集だけ/まだ迷っている | しつこい・急かされる |
先ほど書いた通り、エージェントは成功報酬で動いています。登録者が「今すぐ動く人」なのか「情報収集の人」なのかは、最初に把握したい情報です。
それが伝わっていないと、相手は「今すぐ動く人」として対応してきます。軽い気持ちで登録した人ほど、このズレを「しつこさ」として感じることになります。
裏を返せば、最初に自分の温度感を伝えるだけで、体験はかなり変わるということです。
連絡をコントロールする方法【そのまま使える文面】
この記事で一番使える部分だと思います。コピーして貼るだけでOKです。
状況別に3つ用意しました。
①登録直後に送る
初回連絡が来たタイミングで返します。後から止めるより、先に伝えるほうが圧倒的に楽です。
ご連絡ありがとうございます。
現在、日中は臨床業務のため電話に出ることができません。
お手数ですが、ご連絡はメールにていただけますと幸いです。
お電話が必要な場合は、平日18時以降でお願いいたします。
現時点では情報収集の段階で、すぐの転職は考えておりません。
求人のご紹介は、条件に合うものがあれば月に数件程度で結構です。
よろしくお願いいたします。
入れるべき要素は3つです。
- 連絡手段(メール希望とはっきり書く)
- 時間帯(電話可能な時間を先に決める)
- 温度感(今すぐなのか、情報収集なのか)
※登録後、最初の連絡が来たらこの文面を返すだけです。
②途中でペースを落としたいとき
関係を切らずに頻度だけ下げる文面です。
いつもご連絡ありがとうございます。
業務が立て込んでおり、現在いただいている頻度での
やり取りが難しい状況です。
ご連絡は2週間に1度程度に調整いただけますでしょうか。
また、求人のご紹介につきましては、
下記の条件に合うものに絞っていただけると助かります。
・エリア:〇〇市および近隣
・領域:〇〇(訪問リハビリ/回復期 など)
・希望年収:〇〇万円以上
よろしくお願いいたします。
頻度だけでなく、条件を絞って伝えるのがコツです。条件が曖昧だと「幅広く出しておこう」となり、結果的に紹介数が増えます。
③転職先が決まった/転職をやめたとき
口コミで最も不評だったのが「決まった後も連絡が続いた」というものでした。
担当者への連絡と、システムからのメール配信は別扱いになっていることがあります。「配信停止」まで明記して依頼してください。
お世話になっております。
このたび転職先が決定いたしましたので、
求人のご紹介を終了していただきたくご連絡いたしました。
つきましては、担当者様からのご連絡に加えて、
メールマガジンや求人紹介メールの配信も停止していただけますでしょうか。
これまで丁寧にご対応いただき、ありがとうございました。
それでも止まらない場合
退会を申し出れば終了します。無料サービスなので、違約金などは発生しません。
担当者との相性が問題なだけであれば、担当者の変更を依頼するという選択肢もあります。言い出しにくいかもしれませんが、相性が悪いまま進めるほうがお互いの時間を消耗します。
登録したほうがいい人・しなくていい人
全員におすすめ、とは言いません。合わない人にはハッキリ「合わない」とお伝えしますね!
登録したほうがいい人
- 初めて転職する人:職務経歴書も面接も未経験で一人で進めるのは負荷が高い
- 働きながら転職したい人:求人探しと日程調整の代行に価値がある
- 地方在住の人:自力で見つかる求人が限られるので、母数の大きさが効く
- 条件交渉が苦手な人:給与の話を自分から切り出せない人は代行してもらえる
- 紹介の当てがない人:後述しますが、ここが一番大きいと思います
登録しなくていい人
- 転職先がすでに決まっている人:知人の紹介などで決まっているなら不要
- 条件が明確で自分で探せる人:ハローワークや直接応募で足ります
- すでに複数のエージェントを使っている人:これ以上増やすと管理しきれません
- 転職する気がまったくない人:登録は必要になってからで遅くありません
最後の項目は特に大事です。「なんとなく不安だから登録してみる」が、一番トラブルになりやすいパターンです。連絡に対応する気がないなら、今は登録するタイミングではありません。
私が使わなかった理由と、それでも登録を勧める理由
冒頭に書いた通り、私自身は転職エージェントを使っていません。知人の紹介で転職先が決まり、提示された条件も良かったので、交渉すら必要ありませんでした。
ただ、これは完全に運です。同じ方法を人に勧められるかというと、正直むずかしいです。
たまたま声をかけてもらえる人が近くにいた。たまたまその職場の条件が良かった。再現性はありません。
実際、最初の職場には8年いましたが、その間の昇給は年2,000円程度でした。8年で16,000円です。動かなければ、今も同じ場所にいたはずです。
そして動いた結果、年収は450万円から500万円になりました。
この50万円の差は、8年分の昇給(16,000円)の30倍以上です。職場を変えるインパクトは、それくらい大きい。
紹介の当てがある人は、それでいいと思います。でも声がかからないまま何年も過ぎていく人のほうが、圧倒的に多いはずです。その場合、外の条件を知る手段は自分で取りにいくしかありません。
昇給が期待できない構造については理学療法士が昇給しない理由と対策で詳しく書いています。
登録前に決めておくべき3つのこと
ここを先に決めておくかどうかで、やり取りのストレスがまるで違ってきます。
①希望条件の優先順位
全部は叶いません。この中から上位3つだけ選んでください。
- 給与
- 残業時間
- 1日の単位数
- 通勤時間
- 領域(訪問/回復期/急性期/施設)
- 教育体制
これが決まっていないと、担当者は幅広く紹介するしかなくなります。「希望と違う求人ばかり来る」の原因は、たいていここです。
給与を最優先にするなら、領域を変えるのが最短です。訪問リハビリの給与水準については訪問リハビリの給料が高い理由にまとめています。
②転職したい時期
「3ヶ月以内」なのか「1年以内」なのか「いつかは」なのか。これを伝えるだけで連絡の頻度が変わります。
正直に「まだ決めていません」でも構いません。曖昧なまま伝えないのが一番よくないだけです。
タイミングの判断材料は理学療法士の転職タイミングはいつがベスト?にまとめています。
③連絡手段と時間帯
この記事で繰り返し書いてきたことです。登録フォームに備考欄があればそこに、なければ初回連絡時に伝えます。
リハ職が日中に電話へ出られないことは相手も分かっていますが、言わないと配慮されません。文面①をそのまま使ってください。
よくある質問
よく聞かれることをまとめました。気になる項目だけ拾ってください。
[q_and_a]
[q]本当に無料ですか?[/q]
[a]無料です。転職エージェントは採用した施設側から紹介手数料を受け取る仕組みなので、求職者側の負担はありません。登録時に費用を求められることもありません。[/a]
[q]在職中でも使えますか?[/q]
[a]使えます。むしろ在職中の利用が一般的です。収入が途切れない状態で探せるので、条件を妥協せずに済みます。[/a]
[q]紹介された求人を断ってもいいですか?[/q]
[a]問題ありません。断ったことで不利になることもありません。曖昧に濁すより、「この条件は合いません」と理由をつけて断るほうが、次の紹介の精度が上がります。[/a]
[q]今の職場にバレませんか?[/q]
[a]エージェントが現職に連絡することは通常ありません。ただし現職と関係のある施設に応募する場合は、心配であれば事前に「この法人は避けたい」と伝えておくとよいです。[/a]
[q]退会できますか?[/q]
[a]できます。担当者に伝えるか、サイトの問い合わせから申し出れば手続きされます。違約金などはありません。[/a]
[q]担当者と合わない場合は?[/q]
[a]担当者の変更を依頼できます。遠慮する必要はありません。[/a]
[q]他のサービスと併用してもいいですか?[/q]
[a]併用できます。ただし3社以上になると連絡と日程の管理が煩雑になるので、2社程度が現実的です。[/a]
[/q_and_a]
まとめ
長くなったので、要点だけまとめておきますね。
✓ 運営は東証プライム上場の株式会社エス・エム・エス。公開求人71,793件(PT30,247件)
✓ 無料なのは、施設側が理論年収の27.5〜38.5%程度を払う成功報酬モデルだから
✓ 「連絡が多い」は事実。ただし登録時に手段・時間帯・温度感を伝えれば解決する
✓ 転職先が決まったら「配信停止」まで明記して依頼する
✓ 紹介の当てがない人、初めて転職する人、地方在住の人には価値がある
✓ 条件が明確で自分で探せる人には不要
私が14年間この業界にいて思うのは、給料や働き方に不満があっても、情報がないせいで動けない人が本当に多いということです。
8年間で昇給が16,000円だった職場に、私はそのまま居続けることもできました。動いたのは、たまたま声をかけてもらえたからです。
8年で16,000円。転職して+50万円。この差が全てだと思っています。
登録したからといって、転職しなければいけないわけではありません。今の自分が外でどれくらいの条件になるのかを知るだけでも、判断材料は増えます。
連絡が不安なら、この記事の文面をそのまま使ってください。それで解決します。
