「理学療法士って給料安いよね」「昇給もほとんどないし、退職金も期待できない」——現場でこんな話を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。
残念ながら、これらは事実です。ただ、事実を正しく理解した上で対策を取れば、PTとして働きながらでも着実に資産を増やすことは十分に可能です。
この記事では、理学療法士歴14年・転職と副業どちらも経験した私が、PTの給料事情をデータで解説するとともに、今すぐできる具体的な対策をお伝えします。
新卒の頃、先輩から「療法士って退職金がないから若いうちから貯めとかないとヤバいよ」と言われたのが投資を始めるきっかけでした。あの言葉がなければ、今の資産状況はまったく違ったと思います。
📌 この記事でわかること
- 理学療法士の初任給・昇給・退職金の実態(最新データ付き)
- 給料が上がりにくい構造的な理由
- 今すぐできる3つの対策(貯金・転職副業・NISA/iDeCo)
💡 さっそく結論から
- 理学療法士の初任給は他業種よりやや高い
- 昇給は平均並み。30代以降は伸び悩む傾向がある
- 退職金は全業種中ワーストクラス
理学療法士の給料の実態【最新データで解説】
① 初任給は他業種よりやや高い
厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、理学療法士の新卒初任給の平均は約24〜25万円となっています。同年の大卒平均初任給(約23万2,000円)と比較すると、1〜2万円ほど高い水準です(厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」)。
なぜ初任給がやや高いかというと、時間とお金をかけて国家試験に合格しなければならない専門職だからです。3〜4年間の養成課程を経て取得する資格職であることが、初任給の水準を押し上げています。
私の初任給は手取りで約26万円でした。同世代の一般企業の友人より少し多かった記憶があります。「資格があるから安定してる」と当時は思っていましたが、問題はここから先でした。
なお、理学療法士は専門学校(3年制)でも資格取得が可能なため、大卒より1年早く社会に出て、かつ大卒初任給より高い水準からスタートできる点では有利といえます。ただしその恩恵を享受できるのは、初任給の時期だけという現実があります。
② 昇給は平均並み・30代以降は伸び悩む
厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」をもとに、理学療法士の年代別平均年収と全職種平均を比較してみます。
| 年齢 | PT平均年収(男性) | PT平均年収(女性) | 全職種平均 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 約339万円 | 約336万円 | 約269万円 |
| 25〜29歳 | 約410万円 | 約385万円 | 約371万円 |
| 30〜34歳 | 約442万円 | 約418万円 | 約413万円 |
| 40〜44歳 | 約500万円 | 約460万円 | 約480万円 |
| 50〜54歳 | 約600万円 | 約480万円 | 約520万円 |
このデータからわかることは、20代は全職種平均を上回るものの、30代以降は平均並み〜やや下回るレベルに落ち着くという傾向です。苦労して国家資格を取得した割に、キャリアが長くなるほど相対的な優位性が薄れていきます。
私の最初の職場での昇給は月5,000円。年収にすると約9万円のアップです。10年近く勤めてもほとんど変わらなかった。転職するまでの間、その閉塞感がずっとありました。
昇給が伸び悩む主な理由は以下の2つです。
- 診療報酬・介護報酬の制約:PTが提供するリハビリの収益は国が定めた報酬に上限があり、施設側が独自に給料を上げる原資が少ない
- 供給過多の構造:毎年約1万1,000人以上が国家試験に合格し続けており、働き手が増えるほど一人ひとりの交渉力が下がる傾向がある
→ 【関連記事】理学療法士は昇給しないって本当⁉昇給しない理由と対策を解説
③ 退職金は全業種ワーストクラス
最も衝撃的なデータがこれです。東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」で、「大卒・勤続30年・自己都合退職」の条件で業種別退職金を比較すると、医療・福祉業の退職金は断トツの最下位でした。
| 業種 | 退職金(千円) |
|---|---|
| 金融・保険業 | 9,996千円(約1,000万円) |
| 情報通信業 | 8,161千円 |
| 建設業 | 7,092千円 |
| 製造業 | 6,303千円 |
| 教育・学習支援業 | 6,402千円 |
| 医療・福祉業 | 2,626千円(約260万円)← 断トツ最下位 |
最も高い金融・保険業の約1,000万円に対して、医療・福祉業は約260万円。差額は実に700万円以上です。30年間勤め上げた結果がこの数字というのは、厳しい現実といわざるを得ません。
新卒のとき、先輩から「療法士は退職金がないも同然だから、若いうちから自分で貯めておかないとヤバいよ」と言われました。その言葉がきっかけで投資を始めたのですが、今となってはあの先輩に感謝しています。知らないまま50代を迎えていたら、と思うとゾッとします。
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理学療法士の給料が安い問題への3つの対策
ここまでショッキングなデータを並べてきましたが、対策を知っていれば十分に備えることができます。私が実際に実践してきた3つの対策をお伝えします。
対策① 初任給が高い若いうちから、計画的に貯金する
20代のPTは全職種平均より年収が高い時期です。この時期に「初任給が高い=使えるお金が多い」と勘違いして使い切ってしまうのが最大の失敗パターンです。
人生における大きな支出を事前に把握して、逆算して貯めておくことが重要です。
- マイホーム資金:頭金として500〜1,000万円を目標に積み立てておくと選択肢が広がる
- 教育資金:子ども1人あたり約1,000万円(公立〜私立で変動)が目安。早めに準備を始めるほど負担が減る
- 老後資金:退職金が少ない分、自分で準備する必要がある。月2〜3万円の積み立てから始めるだけでも将来は大きく変わる
「漠然と貯金しよう」では続きません。目的別に金額と期限を決めて積み立てる「目標貯金」が最も続きやすい方法です。
対策② 転職・副業で、自分から収入を上げにいく
昇給が見込めないなら、自分で収入を上げる行動が必要です。PTが収入を増やす方法は大きく「転職」と「副業」の2つです。
【転職で収入を上げる方法】
- 同じPTとして条件の良い病院・施設に移る(給与交渉がしやすいタイミング)
- 領域を変える(病院→訪問看護ステーションなど、給与水準が高い領域へ)
- 医療・福祉以外の業種に転身する(医療機器メーカー・健康経営コンサルなど)
【副業で収入を増やす方法】
- 非常勤として掛け持ち勤務(時給2,000〜3,500円が相場。月+5〜10万円も可能)
- 医療・健康系Webライター(PT資格があれば文字単価5〜15円も狙える)
- ブログ・アフィリエイト(記事が資産として積み上がる)
- パーソナルトレーナー(解剖学・運動学の知識がそのまま活きる)
私自身、転職を1回経験してから副業(Webライター・ブログ)を始めました。転職で自由時間が増えたことが副業を始めるきっかけになり、収入の柱が複数できてから将来への不安が大きく減りました。「給料が安い」という悩みは、行動で変えられます。
→ 【関連記事】理学療法士が稼ぐには?現役14年目PTが教える年収アップの方法と現実的な評価
→ 【関連記事】理学療法士のセカンドキャリアとは?14年目PTが実践中の方法と周囲のリアル事例を紹介!
対策③ NISA・iDeCoで、自分の退職金を自分で作る
退職金が約260万円しか期待できないなら、残りは自分で作るしかありません。そのために国が用意している制度が「NISA」と「iDeCo」です。
NISAとは
通常、株式や投資信託の利益には約20%の税金がかかります。NISAは「NISA口座(非課税口座)」内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる制度です。2024年からは新NISAとして制度が大幅に拡充され、年間360万円・生涯1,800万円まで非課税で投資できるようになりました(金融庁「NISA特設ウェブサイト」)。
iDeCoとは
iDeCoは公的年金に上乗せする私的年金制度です。自分で掛け金を拠出・運用し、60歳以降に受け取ることができます。掛け金が全額所得控除になるため、毎年の税金を抑えながら老後資金を積み立てられるのが最大のメリットです(厚生労働省「iDeCoの概要」)。
PTは初任給が他業種より高い時期があることから、早くから積み立てを始めることで複利の効果を最大化できます。たとえば25歳から月3万円を年利5%で積み立てた場合、60歳時点では約2,800万円になる計算です。
- まずNISAから始める:いつでも引き出せる柔軟性があり、初心者でも始めやすい
- 余裕ができたらiDeCoを追加:節税効果が高く、老後資金として確実に積み立てられる
- インデックス投資(S&P500・全世界株式)から始める:個別株より分散が効き、長期投資に適している
収入を増やす第一歩は転職(完全無料で相談)
PT専門エージェントに相談すれば、今より給与条件の良い求人を無料で探してもらえます。まずは情報収集だけでもOKです。
よくある質問(Q&A)
Q. 理学療法士の年収を上げるには転職と副業どちらが先?
A. 即効性があるのは転職です。1回の転職で年収30〜100万円アップも珍しくありません。副業は軌道に乗るまで時間がかかりますが、収入の柱が増えるため長期的に安定します。理想は転職で収入の土台を上げつつ、副業で上乗せしていく形です。
Q. 理学療法士で年収600万円以上は可能ですか?
Q. 理学療法士で年収600万円以上は可能ですか?
A. 可能です。データでは男性50〜54歳で平均約600万円となっています。ただしこれは平均値であり、訪問系・管理職・大規模病院では40代で600万円超えのケースもあります。また転職+副業を組み合わせれば、40代で年収800万円以上を実現しているPTも実際に存在します。
Q. 訪問リハビリは給料が高いって本当ですか?
A. 本当です。訪問リハビリは1件あたりの報酬単価が高く、インセンティブ制度がある事業所では件数に応じて給料が上がる仕組みもあります。ただし移動時間・体力面・一人職場の孤独感など独自のしんどさもあるため、給料だけで選ぶのは要注意です。
→ 【関連記事】訪問リハビリの給料が高い理由を徹底解説!事業所選びのポイントも紹介!
Q. 理学療法士は何年目で転職するのがベストですか?
A. 給料アップを目的とした転職は、3〜5年目が狙い目です。即戦力として評価されながら、まだ柔軟にキャリアを変えられる時期です。10年以上たってからでも遅くはありませんが、早いほど生涯年収への影響が大きくなります。
→ 【関連記事】理学療法士が転職するベストなタイミングは?失敗しない時期と判断基準を徹底解説
まとめ
この記事では、理学療法士の給料事情と対策を解説しました。
📌 まとめ
- 初任給はやや高いが、30代以降の昇給は平均並みに落ち着く
- 退職金は全業種中ワーストクラス(約260万円)
- 対策①:若いうちから計画的に貯金する
- 対策②:転職・副業で自分から収入を上げにいく
- 対策③:NISA・iDeCoで自分の退職金を自分で作る
「給料が安い」という事実は変えられませんが、それに対する行動は自分で選べます。今の日本では終身雇用の崩壊・退職金の減額はどの業種でも起きている問題ですが、PTは昇給も退職金も期待しにくい分、早めに動いた人ほど有利になります。
まず情報収集から始めてみてください。それが最初の一歩です。
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【データ出典】
・年代別平均年収:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
・退職金データ:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」
・NISA制度:金融庁「NISA特設ウェブサイト」
・iDeCo制度:厚生労働省「iDeCoの概要」
